人気ブログランキング | 話題のタグを見る

思い出は美しすぎて

思い出は美しすぎて_c0351116_20561522.jpg
SIGMA DP2X

おれの生まれ育った三河島をうろうろと徘徊中、仲町通り商店街でとある店先に目が留まった。

そういえば、キリンレモンというのは久しく見ていないような気がするのであるが、まだ製造されているのであろうか。ちょっと調べてみたら、キリンオレンジともにきちんと製造されているではないか。しかしそのデザインは昔とだいぶ異なっていた。

思春期から成人にかけて生きてきた一九八〇年代というのは、ガチで死にたくなるほど恥ずかしい思い出ばかりなので、出来ることなら記憶から完全消去してしまいたい気分であるけれども、まだまだガキであった七〇年代は、いつまでも浸っていたい思い出ばかりなのである。真夏の暑い日に外で遊びまくり、汗だくで家に帰って、冷蔵庫を開けて冷えたキリンレモンをごくごくと飲む…もしかしたらそれはスプライトであったかもしれないし、三ツ矢サイダー…いや、最悪ただの麦茶であった可能性もあるのだけれども、まぁ思い出ゆえ、キリンレモンということにしておこう。

もしかしたらおれの周りだけであったかもしれないが、当時のガキの三種の神器は、ステレオラジカセ、プロポのラジコン、そしてデジタル腕時計であった。特にステレオラジカセは安くても四万円台、後に宇崎竜童のCMで登場したナショナルのステレオマックムゥが破格の三万九千八百円であったが、いずれにせよ頭の悪いガキどもには高嶺の花であった。とはいえ当時の我が家は親父が儲けまくっていたおかげで、おれはLR独立のレベルメーターとツインアンテナのステレオラジカセも、そしてプロポのラジコンもデジタル腕時計も、更にはBCLラジオまで持っていたが、その後、親父はお袋が経営していた喫茶店のウエイトレスと蒸発、我が家は転落のド底辺家庭となった。

そういえば、お袋の喫茶店の開店資金を叔父が使い込んでセドリックを買ってしまったりと、随分と大人どもの醜く卑しい争いを目にしてきたはずなのであるが、でもしかしやはり、思い出はまるで八神純子の曲のように美しいのであった。


by rising_h | 2017-12-06 00:00 | 徘徊 | Comments(0)