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STREET 1:1 番外編 コンパクトカメラは夜間スナップの夢を観るか。

 夜間スナップが好きだ。

 銀塩時代から夜の路地裏などを徘徊していたが、しかし詰めるフィルムはいつもISO400のポジで、それ以上の高感度を使用することはなかった。ノイズは嫌いではないが、ポジに限れば400がノイズと画のバランスというか、塩梅がよかったように記憶している。当時の夜間スナップにはニコンミニやミノックスEL、リコーFF-1sなどのコンパクトカメラを愛用していた。後に富士フィルムがカルディア・トラベルミニという二焦点の傑作機を出し、あの変態じじぃのタナカチョートクセンセーも愛用していたように思うが、残念ながらこれを使う機会はなかった。

 で、デジタルの話であるが-

 一眼レフ(以下DSLR)は確かに高画質である。

 しかし、撮りたい時に手元になければまったく意味がない。

 そして、こいつを常に手元に置いておきたいかというと、まったくそうではなく、それどころか「冗談じゃないよ、おれはヘルニア持ちなんだよバーロー」ってな感じ。ヘルニア、つまり「地獄」が「近い」身なのである。重いDSLRを持ち歩くと、すぐにカフェなどで休みたくなる。カフェに入れば、甘い飲み物が飲みたくなる。その回数が増えれば、当然血糖値があがる。まことに危険ではないか。カフェの美しいママさんに一目惚れしてしまう可能性だってある。少なくともおれはそういう生き物である。

 やはり、コンパクトカメラはよい。

 コンパクトカメラは被写界深度等を考慮して1/1.7型センサーで充分であろうと考えているが、昨今の大きめのセンサーを積んだモデルが気にならなくもない。デジタルカメラそのものにあまり興味がないので、気にはなっても買うまでには至っていないのである。

 そんなわけで、おれはいつもリコーのGRDIVかキャノンPowerShot S100のどちらかを鞄の中に放り込んでいるのであるが、しかし時にはその両方が入っていることもある。まぁ両機とも旧式ではあるけれども、特に致命的な故障があるわけでもなく、また先程書いたように、デジタルカメラにあまり興味がないので、大型センサー搭載機が気にはなっても買うには至らないという悩ましい状況が続いている。とにかく、この二台を鞄の中に放り込んでおいても、その重量をまったく意識することがないのは何よりも素晴らしいことであろう。

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RICOH GR Digital IV ISO400

 GRDIVのレンズは素晴らしく、コンパクトカメラでは常套的なデジタル補正の類に一切頼ることなく切れ味抜群で、そして豆センサーにしては立体感ある画を叩き出す。背面の液晶もDSLRと同等か、それ以上のクオリティであるが、逆をいえばそれだけのカメラで、高感度はからきし弱く、また手ブレ補正も出来損ないの役立たず、更にセンサーにすぐにゴミが付着するという持病もある。撮影スキルの他に、RAW現像もかなりのシビアさを要求されるため、チャラけた文化人モドキが使っているからと初心者が手を出すとかなり強く後悔するであろうなぁなどと思わなくもない。あくまでも分かっている人のためのカメラで、ある意味シグマのDPシリーズよりも変態度が高いように思う。

 珠玉のレンズはF1.9と明るく、開放からほぼピーク解像度であるため、ISOを上げずとも夜間スナップに対応できないわけでもないが、人物などの被写体ブレに関してはお手上げ状態である。

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Canon PowerShot S100 ISO800

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Canon PowerShot S100 ISO1600

 キャノンPowerShot S100はそれらGRDのウィークポイントがほぼ解決されている。レンズに関しては小型ズームということもあり、デジタル補正なしでは使い物にならない代物ではあるが、センサー及びエンジンの出来はすばらしく、ISO1600など朝飯前、更に高感度にしても、ノイズを活かした荒々しい画に仕上がる。何よりも手ぶれ補正が確実に効き、更にはRAW現像時の調整シロが広いのは有難い。

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Canon PowerShot S100 ISO80

 このS100を更にスペックアップしたモデルがあれば、ナイトライフ(あくまで写真の)がより愉しいものになるであろう。

 などと考えていら、あった。

 1型センサー搭載のPowerShot G7Xとやらが。

 大して大きくもないし、背面液晶が可動するのは素晴らしく、ウエストレベルでの撮影が楽になる。

 しかし現S100、もう何万ショットも撮影しているにも関わらず、まったく壊れる気配がない。壊れてほしいわけではないけれども、大義名分ってのがなぁ…。

 


 


by rising_h | 2015-06-28 20:10 | 番外編 | Comments(0)